
フランス語の「Cocorico(ココリコ)」は、単なる鳴き声ではありません。 直訳すると「コケコッコー」ですが、実はそれ以上にフランス人の誇り・希望・ユーモアを表す言葉です。 スポーツの勝利や科学の発見、そして政府の発信にまで登場し、 国全体を元気づける「合言葉」として親しまれています。
この記事では、この言葉の由来・象徴・文化的な意味、そしてエリゼ宮との関わりをやさしく紹介します。
目次
Cocoricoとは?フランス語の意味
Cocorico(ココリコ)は、フランス語で雄鶏(おんどり)の鳴き声を表す言葉です。 日本語の「コケコッコー」にあたりますが、フランスではもっと深い象徴的な意味を持ちます。 この言葉は、“フランスばんざい!”という気持ちを表すときに使われます。
「Un Français a gagné le prix Nobel ! Cocorico!」🐓
(フランス人がノーベル賞を取った!やったねフランス!)
つまり「Cocorico!」とは、フランス人が自国を誇るときの歓声。 そこには愛国心だけでなく、明るさとユーモアが込められています。
この一言には「少し誇らしく、少しおちゃめに」というフランス人らしい気質も感じられます。
たとえ国際的な舞台であっても、笑顔で自国を誇る柔らかさがある――それが「Cocorico!」という言葉の魅力です。
ラテン語 Gallus とガリア人・雄鶏の関係
「Cocorico」がフランスの象徴的な言葉になった背景には、ラテン語の偶然の一致があります。 古代ローマ語の「Gallus」という単語には、二つの意味がありました。 ひとつは「ガリア人(Gaul)」、もうひとつは「雄鶏」。 この偶然の一致から、ガリア人=雄鶏という象徴が誕生しました。
この「ガリア人(Gaulois)」とは、紀元前に現在のフランス・ベルギー・スイス西部などに暮らしていたケルト系民族を指します。 彼らはローマ帝国に征服されたのちも独自の文化を保ち、やがてフランク王国を築いていきました。 つまりこの「ガリア人」は、のちのフランス人の祖先とされていて、 ラテン語での「Gallus(ガリア人/雄鶏)」がフランス人の民族的アイデンティティを象徴する言葉となったのです。
その後、雄鶏はフランス民族の象徴として受け継がれ、 「Gallus」という言葉が言語・文化・誇りをつなぐキーワードとなったのです。 古代の語源がやがて国家的なシンボルへと発展し、 「Cocorico!」という歓声にその精神が宿るようになりました。
この語源の背景を知ると、なぜフランスで「Cocorico!」が国全体のシンボルになったのかが分かります。
雄鶏は夜明けを告げる動物であり、暗闇のあとに訪れる光を知らせる存在。
まさに新しい時代を切り開くフランスの精神と重なっているのです。
ガリアの雄鶏がフランスの象徴になるまで

中世以降、雄鶏(le coq gaulois)は信仰と希望のシンボルとして教会の尖塔にも登場しました。 夜明けを告げる雄鶏は、勇気・再生・希望の象徴。 19世紀にはこの雄鶏が共和国の象徴となり、 フランス代表チームのユニフォームや硬貨、官庁の紋章などにも描かれています。
「ガリアの雄鶏」は、フランス人にとって魂の象徴であり、 国を誇るときに自然と浮かぶシンボルとなりました。
この雄鶏は単に国家のマークではなく、「目覚め」と「勇気」のメッセージを持ち続けています。
フランスのスポーツや文化イベントでも「Cocorico!」という声が上がるたびに、 この歴史的象徴が現代に息づいていることを感じるでしょう。
エリゼ宮の紋章と門に見られる雄鶏の象徴

フランス大統領府エリゼ宮(Élysée)では、雄鶏のモチーフが建築や装飾の随所に見られます。 門の上には金色に輝く雄鶏が掲げられ、「ガリアの雄鶏(le coq gaulois)」の伝統を体現しています。 この雄鶏は共和国の誇りと目覚めを象徴し、 訪れる人々を迎える守護者のような存在です。
また、エリゼ宮の公式サイトや文書に使われる紋章ロゴには、 中央に「R.F.」=République Française(フランス共和国)の文字が刻まれています。 その周囲の月桂冠とオークの葉は、国家の威厳と平和を象徴しています。 つまりエリゼ宮のロゴと門の雄鶏はともに、「Cocorico!」の精神を形にした象徴なのです。
この装飾は観光客にも人気があり、毎年9月の「ヨーロッパ文化遺産の日(Journées du Patrimoine)」には、 エリゼ宮の門の前で雄鶏を背景に写真を撮る人々が列を作ります。 それほどまでに、金の雄鶏は“共和国の顔”として親しまれています。
現代の象徴:エリゼ宮ニュースレターCocorico

エリゼ宮(Présidence de la République française)が発行するニュースレターのタイトルも「Cocorico」です。 このメールマガジンでは、地方企業や職人、スタートアップの「成功と誇り」を紹介し、 フランス各地の前向きな話題を発信しています。 政治色を避け、国民に希望を届けるこの姿勢こそ、まさに現代版「Cocorico!」の精神です。
このレターは、“フランスの明るい一面”を共有する目的で配信され、 職人や中小企業などの声を拾い上げることで、 国全体がひとつにつながる感覚を呼び起こしています。 「Cocorico」は今や、ニュースレターという形で人々の暮らしの中にも息づいている言葉なのです。
広告やブランドでも人気の言葉

「Cocorico」は政府の発信に限らず、日常の広告やブランドでも広く使われています。 この言葉は「フランス製」「地元の誇り」「職人の情熱」などを自然に伝えるため、 “Made in France(メイド・イン・フランス)”の合言葉として定着しました。
- 🧀 食品:「Cocorico fromage」…フランス産チーズブランド
- ☕ カフェ:「Le Café Cocorico」…フランスらしさを打ち出すカフェ名
- 🚗 自動車CM:「Technologie française – Cocorico !」…フランス技術の誇りを表すコピー
- 🏠 地方キャンペーン:「Cocorico de nos régions(わが地方の誇り)」
つまり「Cocorico」は、“フランス発を明るく伝えるサイン”。 「メイド・イン・フランス」「地方の誇り」「職人の技」など、 フランス文化の魅力をひとことで表す温かい言葉なのです。
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まとめ
「Cocorico(ココリコ)」は、フランスの心の鳴き声とも言える言葉です。 ラテン語「Gallus」から生まれた偶然が、ガリアの雄鶏という象徴を生み、 今もエリゼ宮の門やニュースレターにその精神が息づいています。
この言葉を見かけたら、それは「誇り」「希望」「笑顔」。 まさにフランス文化と自信を伝える合言葉――Cocorico!🐓