フランスでは、レストランで「Carafe d'eau(カラフ・ドー)」を頼むと無料の水道水が提供され、自宅でも野菜や果物を洗ったり、歯を磨いたりと日常的に使われています。
しかし近年、PFAS(有機フッ素化合物)による水質汚染が問題となり、「フランスの水道水は本当に安全なのか?」と不安に思う方も増えています。
この記事では、PFASとは何か、フランスにおける水道水の安全基準、そして日常生活で注意すべきポイントを、在仏者の視点から分かりやすく解説します。
目次
PFASとは?フランスでなぜ問題視されているのか
PFAS(ピーファス)とは、耐熱性や防水性に優れた人工化学物質の総称で、工業製品や食品包装、消火剤などに使用されてきました。しかし自然界では分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれます。
フランスでは、近年ローヌ川流域やブルゴーニュ地方などでPFAS汚染が報道され、政府やANSES(フランス食品環境労働衛生安全庁)が対策に乗り出しています。
PFASは長期間体内に蓄積すると、発がん性やホルモン異常のリスクが指摘されているため、飲料水からの摂取が問題視されています。
フランスの水道水の安全基準と実情
フランスでは水道水の品質が厳しく管理され、水道水には80項目以上の検査基準があります。2023年以降はPFASに関する新しい規制も導入され、定期的に測定と公表が行われています。
特にパリ市では、水道水の水源がセーヌ川やマルヌ川の支流で、濾過やオゾン処理、活性炭処理など多段階の浄水プロセスを経ています。
パリ市水道局(Eau de Paris)は、PFASの含有量が現在の欧州基準(100 ng/L未満)を大きく下回っていることを発表しています。
パリでの水の使い方:飲用、調理、洗浄の実情と注意点
実際多くの人は以下のように水道水を使っています:
- 歯みがき → 水道水で問題なし
- 野菜・果物の洗浄 → 水道水で洗い、必要なら拭き取り
- 炊飯や汁物などの調理 や温かい飲み物→ 水道水を使用
- 飲用 → ミネラルウォーターを飲む家庭が多いですが、浄水器を併用する人も
水の硬度(カルシウムやマグネシウム)は地域差がありますが、健康被害はありません。
ただし、赤ちゃんの調乳や健康不安がある方は、浄水器やミネラルウォーターを使っている家庭も多いです。
レストランの Carafe d’eau(無料の水)は安全?
フランスのレストランで「カラフ・ドー」と注文すると出されるのは、水道水をそのままピッチャーに入れたものです。
フランスでは法律で無料の水の提供が義務化されていて、飲料としての基準もクリアしているため、基本的には安全です。
ただし、古い建物の水道管が劣化しているケースや、田舎の一部地域では水質に差があるため、不安がある場合はミネラルウォーターを選ぶのもひとつの方法です。
日本から来る旅行者・短期滞在者へのアドバイス
旅行者の方にとって、水道水の安全性は特に気になる点かもしれません。フランスのホテルやレストランでは水道水が基本的に安全ですが、以下の点に注意してください:
- 味や匂いが気になる人はボトル水を持参
- ミネラルウォーターはスーパーや駅売店で手軽に購入可
- 飲み水が心配な場合は炭素フィルター付きのボトルや浄水ボトルもおすすめ
結論: フランス・パリの水道水は飲んでも大丈夫?
パリをはじめとするフランスの都市部の水道水は、基本的に飲んでも問題ない安全性が確保されています。
PFASの懸念はありますが、検査や規制も強化されていて、今すぐに健康被害が起きるようなレベルではありません。
ただし、飲料水として日常飲む場合や、味や匂いに敏感な方、小さなお子様がいる家庭、健康不安のある方は、浄水器の使用やミネラルウォーターの併用をおすすめします。