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Navigo Liberté+(ナヴィゴ・リベルテ)使い方と注意点完全ガイド

Navigo Liberté+(ナヴィゴ・リベルテ)メトロ パリ

Navigo Liberté+は、パリの地下鉄やバスを自動的に最適価格で管理してくれる便利なサービス。しかし、スマホとNavigoカードで利用方法が異なることや、情報保持への同意IBAN(SEPA口座)登録、乗り換えの時間制限、ゾーンコントロールの扱いなど、利用にあたって事前に理解しておくべき条件も多く存在します。

このサービスの最大の特徴は「ポストペイ型(後払い方式)」であること。事前にチケットを買う必要はなく、使った分だけが月末に自動で計算され、翌月にSEPA(ヨーロッパ統一口座振替)により引き落とされます。クレジットカードではなくIBAN口座が必要で、これにより日本国内の口座しか持たない短期旅行者には向いていません。

料金は1回ごとの乗車単価が決まり、地下鉄やRERは1.99€バスやトラムは1.60€(割引あり)。さらに、同じ日に「Navigo Jour(1日乗車券)」の金額上限に達した場合、それ以降は無料で乗り放題となる柔軟な仕組みも特徴です(空港路線は除く)。

また、乗り換えに関しても制度が整い、バスやトラムでは90分以内地下鉄やRERでは2時間以内であれば、複数路線を利用しても1回分としてしかカウントされません。ゾーンコントロール内であれば移動経路に関わらず課金は1回分にまとめられ、逆に一度外に出て再度タッチすると新たな課金が発生します。

Navigo Liberté+はスマホ版とカード版で別契約となり、同時利用は推奨されません。スマホで登録した場合はアプリ上で、カードで登録した場合はNavigoカード専用端末でのみ使用可能です。割引料金はカード利用時のみに適用され、スマホ利用では正規料金のみの課金となります。

本記事では、Navigo Liberté+のしくみ、乗り換えルール、SEPA口座登録、スマホとカードの違い、対応アプリ、そして料金システムまで、詳しく解説します。定期券が不要で、フレキシブルに移動したい方におすすめのこの新しい運賃制度を正しく理解し、最大限に活用しましょう。

本記事の内容は、Île-de-France Mobilités の 公式 Navigo Liberté ページ および、利用規約(CGVU)に基づいて構成されています。

 

🧾 Navigo Liberté+申し込み方法と注意点

Navigo Liberté+初回申し込みは無料です(スマホ・カード共通)。ただし、このサービスは IBAN(SEPA対応の銀行口座)の登録が必要なため、EU圏内在住者向けの制度です。

旅行者など、現地口座を持たない一時滞在者には利用できません。

また、ポストペイ式(月末締め・翌月引き落とし)で運用されるため、クレジットカードでは支払いができません。IBAN口座が必須です。

📲 Navigo Liberté+ の申し込み方法

Navigo Liberté+は以下のいずれかの方法で申し込みできます:

  • 📱 スマートフォンで利用する場合:アプリ 「Île-de-France Mobilités」 をダウンロードし、アプリ内から申し込み可能です。
  • 💳 Navigoカードで利用する場合:オンラインもしくは駅窓口で申し込み後、カードにサービスが追加されます。

🔗 申し込みページ:

🔁 再登録・紛失時は手数料が発生

公式サイトによると、一度解約した後の再契約や、カード紛失などで再登録が必要になった場合には、以下の 書類手数料 が発生します:

  • 通常料金:8€(税込)
  • 割引料金:4€(税込)

スマホのみで利用している場合でも、再登録が「新規扱い」とされた場合は、同様に費用が発生します。

📌 アドバイス:解約は慎重に

Navigo Liberté+は一度解約してしまうと、再加入時に手数料が発生します。IDFMアカウント(メールアドレスとパスワード)を安全に保管し、スマホ紛失や機種変更の際も ログインして再設定できるよう備えておきましょう

📱スマホ利用は情報保持への同意が必要

スマートフォンで Navigo Liberté+ を利用する場合、アプリが位置情報や乗車履歴などの「検証データ」を保存することに同意する必要があります。保存期間は 30日または90日の選択制です。これに同意しない場合は、ICカードでの申し込みに誘導されます。

📱 Navigo Liberté+スマホとICカード同時利用可能?

公式情報によると、Navigo Liberté+ は同じ利用者がスマホとICカードの両方で契約を持つことが可能です。

しかしこの場合、2つの別契約として扱われ、請求書も2通に分かれて発行されます

📄 2契約の内訳:

  • ICカード契約:1契約(SEPA引き落とし)
  • スマホ契約:1契約(IDFMアプリまたはWallet-iPhone)

⚠️ 公式の推奨:

Île-de-France Mobilitésは「1つの端末(ICカードまたはスマホ)のみの利用を推奨」しています。

重複利用は乗り換え割引の適用漏れや、2重課金の原因になる可能性があります。

安全に最大のメリットを得るには、ICカードまたはスマホのいずれか一方に統一して使うのがベストです。

💳 Navigo Liberté+ の料金システム

利用した分だけ月末に一括で請求され、以下の単価が適用されます:

  • 地下鉄/RER:1.99€(割引 0.99€)
  • バス/トラム:1.60€(割引 0.80€)
  • 空港アクセス:13€(割引 6.50€/ Roissy Bus 除く)

※割引料金は Navigo カード(物理カード)での利用時のみ適用されます。

Navigo Liberté+ では、特定の条件に該当する人に対して、割引や無料の制度があります。

以下はその一例です:

✅ 割引が受けられる人(tarif réduit)

  • 4歳以上10歳未満の子ども(年齢証明が必要)

✅ 無料になる人(gratuité)

  • 4歳未満の乳幼児(証明書類が必要)
  • 障がい者(障がい者手帳など適切な証明が必要)

※ これらの制度はNavigoカード(ICカード)利用時のみ適用され、スマートフォンでの利用では適用されません。

⬆️ 同一日内に上限額に達すると以降無料

1日の合計利用額が Navigo Jour の上限額 に達すると、それ以降の移動は同日に限り無料になります(空港行きの路線を除く)。

🚌 Navigo Liberté+の乗り換えルールと課金条件

Navigo Liberté+では、ある一定の時間内に行われた乗り換えは1回の乗車とみなされます。したがって、乗り換えたとしても二重に料金がかかることはありません

■ 同一運賃で認められる乗り換えの例

  • 🚌 バス/トラムから別のバス/トラムへの乗り換え:1.60€(0.80€ 割引)
  • 🚇 地下鉄、近郊列車、RER、トラムExpress 間の乗り換え:1.99€(0.99€ 割引)
  • 🚉 地下鉄、近郊列車、RER、トラムExpress とバス/トラム間の乗り換え:1.99€(0.99€ 割引)
  • バス、トラム、地下鉄、近郊列車、RER、トラムExpress と空港間の乗り換え:13€(6.50€ 割引)

■ 乗り換えの有効時間と条件

乗車する交通手段によって、最初のタッチから有効な乗り換え時間が異なります。

  • 🚌 バス・トラムで出発した場合:
    最初にタッチしてから90分(1時間30分)以内であれば移動を中断せず、逆戻りしない限り、次の乗車も1回分の運賃として処理されます。
  • 🚇 地下鉄・近郊列車(Métro/Train/RER)で出発した場合:
    最初の改札タッチから2時間以内で、改札を出ずに乗り換えれば1回分の運賃として処理されます。

このルールは「どこへ乗り換えるか」ではなく、「どこから出発したか」によって決まります。

🔍 「改札を出ない」とはどういう意味?

フランス・パリの地下鉄(Métro)では一部オルリー空港などの郊外路線を除き、改札に入るときだけタッチ(バリデーション)を行い、出口ではタッチをしません。そのため、実際に地上に出ても、「改札を出たかどうか」はシステム上は記録されません

この仕組みにより、下記の条件をすべて満たせば、たとえ別の交通機関に乗り換えた場合でも、1回の移動(=1回分の料金)として認識されます。

  • ✅ 最初のタッチから2時間以内であること
  • ✅ 地上に出たあと、次の交通機関(バス、トラム、RER など)に再度タッチして乗車すること
  • 逆戻り(出発地点方面への移動)をしないこと

🚇 この場合「1回分の料金(1.99€)」で済みます。

⚠️ RER・近郊列車では注意が必要

RERや一部の近郊列車では、地下鉄と異なり、改札の入場・退場どちらでもタッチが必要です。出口でタッチした時点で「移動が完了した」とみなされます。

つまり、たとえ最初の改札タッチから2時間以内であっても、出口タッチ後に他の交通機関に乗ると「別の乗車」として課金されるケースが多くなります。

  • 例:🚉 RERで乗車 → 出口でタッチ → 🚌 バスに乗る → ➖ 新たに1回分課金される可能性あり

📌注意:「改札を出た」とシステムが判断するかどうかは、タッチ記録の有無で決まります。地下鉄の改札は出るときのタッチが無いため、2時間以内であればバスに乗り換えても1回分として処理されることが多いです。
ただし、公式サイトに明記されているにもかかわらず、実際の運用はやや複雑で、駅の係員でも正しく理解していないことがあります。

🚦 詳細は以下の公式情報をご覧ください

✳ ゾーン・コントロールについて

Navigo Liberté+では、ゾーン・コントロール内の移動であれば、1回分の運賃として処理されます。

この「ゾーン」とは、改札口や乗車確認機で囲まれた構内エリアのことを指します。フランス語で「Zone contrôlée」と表記され、駅構内や乗換エリアで明確に区切られています。

構内で別の路線へ乗り換える場合は、案内表示に従い改札の外に出ずに進むことで、1回分のまま乗車できます。

■ 注意点:

  • 🚫 構内の改札口の外に出ないこと
  • 🔁 いったん改札の外に出て再度タッチすると、新しい乗車として再課金されます
  • 🚶‍♀️ 「Correspondance(乗り換え)」の表示に従って移動する
  • 🚪 出口(Sortie)は、移動の最終目的地でのみ利用する

📌 例:

  • 地下鉄A線で駅Aに到着 → 同駅で地下鉄B線に乗り換え(改札内の通路を利用)→ 1回分
  • 同じ駅で間違って改札を出てしまい、再度入り直した → 2回分として課金

💡 つまり、駅構内での乗り換え=改札を出ない限り1回分というのが基本です。

🌏 特別な無料乗り換えが可能な駅

以下のような例外的な乗り換えポイントでは、一時的にゾーンの外に出ても二重課金されません: 

以下一例です。 詳細は公式サイトをご覧ください。 

  • Porte de Clichy(M13, M14)↔ RER C
  • Saint-Michel(M4)↔ RER C, B
  • Gare d’Austerlitz(M5, M10)↔ RER C
  • Châtelet – Les Halles(RER A, B, D)↔ M4
  • Haussmann Saint-Lazare(E線)↔ Gare Saint-Lazare(L, J)↔ M3, M12, M13, M14
  • Paris Montparnasse ↔ Montparnasse Bienvenüe(N線, M13, M4, M6, M12)
  • その他、2025年からM15などの新駅間接続も対象

🚀 終わりに

Navigo Liberté+は、定期券不要でフレキシブルにパリの交通を使いたい方に最適です。スマホとカードで機能が異なる点や、無料乗り換え・課金のタイミングを理解すれば、さらに安心して活用できます。不定期に移動する人やIBAN 口座があれば短期滞在の方にもおすすめです。

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